ユキヤナギ(雪柳)の剪定!プロの庭師が剪定方法を伝授します
ユキヤナギは、さくらの咲く春、真っ白な花を垂れた枝一面に雪が降り積もるように咲く姿が美しい庭木です。その花の咲き誇る姿は、その名の通り、柳の枝にまるで雪が降り積もったかのような姿で、街ゆく人の目を楽しませてくれます。市街地や公園などでも見かけることが多いユキヤナギは、育てやすく、剪定などのお手入れもしやすい花木です。このページでは、ユキヤナギの剪定の時期や剪定方法、育て方のコツなどを、プロの庭師が伝授いたします。
目次
ユキヤナギ(雪柳)の基礎知識
ユキヤナギ(雪柳)の特長
ユキヤナギ(雪柳)の育て方
ユキヤナギ(雪柳)を剪定する時期は?
ユキヤナギ(雪柳)の剪定方法
ユキヤナギ(雪柳)の増やし方
自分での剪定は事故に注意!
ユキヤナギ(雪柳)の基礎知識
学名:Spiraea thunbergii
科名:バラ科
属名:シモツケ属
原産地: 日本、東アジア(中国原産という説もある)
和名:雪柳(ゆきやなぎ)
英名:Thunberg spirea
樹高:低木 1m~2m
常落区分:落葉性
日照:日なた
耐暑:強い
耐寒:強い
開花期:4月
花色:白
剪定時期:花後の4月~5月、1月~2月(強剪定)
記念樹:ユキヤナギは成長が早く、花言葉も「愛らしさ、愛嬌、殊勝、賢明、静かな思い、気まま」となっているので、女性へのお祝いや、お子さまの成長の記念樹にいかがでしょうか。詳しくはこちらから
花言葉:愛らしさ、愛嬌、殊勝、賢明、静かな思い、気まま
ユキヤナギ(雪柳)の特長
ユキヤナギ(雪柳)は、バラ科シモツケ属の落葉低木で、株立ちとなり、枝が長く垂れ下がり、その枝に小さな白い花が無数に咲く花木です。原産国は中国と言われる場合もありますが、日本原産とされており、本州以西で多く見受けられます。ユキヤナギは日本の気候にも適しており、日本独特の湿気や暑さと寒さなどにも順応し、病害虫の心配も少ないことより、庭木として個人宅のお庭にも、公園などの公共のスペースにも植えられています。
白く雪が積もったような姿からは、ひ弱なイメージを持つ方もいらっしゃいますが、実は強健な樹種で、樹勢も強いので、花後に地際で刈り込んでも、花芽が付くころまでには1m程度まで伸び、翌年も花がたくさん咲いた姿が見えます。
ユキヤナギには、開花期の違いで早生種~晩生種があり、花色は白、ピンクの種類があります。葉色は、一般的な緑の他、黄金葉種もあり、この光厳ユキヤナギは紅葉もするので、春の花から秋の紅葉まで長い期間楽しめる品種ですが、あまり多く出回っておりません。
ユキヤナギ(雪柳)の育て方
美しいユキヤナギの姿を見えるようにするには、日当たりの良い場所で育てること、密植は避け余裕のある植栽間隔、そして、最適な剪定が必要です。
できるだけ日当たりのよい場所で、土壌は選びませんが、できるだけ団粒構造の肥沃な土で育てたいものです。
栽培環境
ユキヤナギは、強健で樹勢の強い花木なので、どんな土壌でも構いませんが、日当たりの良い場所で育てましょう。日当たりの良し悪しでお花の開花に影響があります。ユキヤナギは成長が早く、大きくなるため、基本的には地植えで育てましょう。枝が密生し風通しが悪くなると、病害虫も発生しやすくなるので、適宜、枝を透かすことと風通しの良い場所を選んで植えましょう。
水やり
真夏の高温期以外の時期の水やりは必要ありませんが、日照りが続いた場合は水やりを行いましょう。
肥料
寒肥を1月から2月頃に、花後にはお礼肥として、緩効性の化成肥料を施しましょう。
病気と害虫
ユキヤナギは基本的に丈夫なので、病害虫についてもあまり気にする必要はありませんが、稀に、うどん粉病にかかる場合があります。また、枝が密集し風通しが悪い時などに、アブラムシやカイガラムシなどの害虫が発生することがあります。
粉をまぶしたように葉が白くなる「うどんこ病」に罹った場合や、アブラムシ類、カイガラムシ類が発生した場合は、剪定して風通しを良くし、早めに薬剤を噴霧しましょう。
用土
ユキヤナギは土質はあまり選ばず、乾燥にも多湿にもよく耐えますが、常に湿ったような状態になる粘土質などの場合は、根腐れやシラキヌ病が発生することもあるので、水はけのよい土になるように客土をしたり、土質改良を行いましょう。
植えつけ、 植え替え
ユキヤナギの植えつけは、2月中旬~3月下旬と10月・11月が適期です。地植えの場合の植え替えは基本的には不要です。株分けや移植を行う場合は、植え付けの適期と同じ時期に行いましょう。植え付けは基本的に水ぎめ法で行う方がよろしいかと思います。
ユキヤナギ(雪柳)を剪定する時期は?
ユキヤナギの剪定は、花後にすぐに刈り込む、もしくは、仕立て直す場合は落葉期に地際から枝を切るという、ふたつの方法があります。仕立て直さない場合の落葉期には、花芽が付いていますから、不要な枝を透かす程度にしておきましょう。花芽は8月~9月頃に分化が行われますから、花芽の分化後は花芽を切ってしまわないように注意が必要です。
剪定時期
枝を透かす剪定は、花が咲き終わってすぐの、4月~5月に行いましょう。花が終わり、夏の日差しになる頃には、枝が大きく伸び、すぐに花芽の分化ということにならないように、早めに剪定を行いましょう。そうしないと、翌年咲く花芽を切り落とすということになってしまいます。
透かし剪定時期
ユキヤナギは樹勢が強く、すぐに枝葉が茂り、風通しが悪くなったりしますから、そのような場合には適宜、透かし剪定を行いましょう。8月~9月の花芽分化後の剪定は、花芽を切り落とすことになってしまうため、透かし具合と花芽の残り具合を勘案して行いましょう。
仕立て直し
樹形が大きくなったりした場合は、仕立て直しを行いましょう。仕立て直す場合は、1月~2月の休眠期に行いましょう。尚、その場合は、すでに花芽が付いた状態となっていますから、翌年の開花はあきらめる必要があります。
ユキヤナギ(雪柳)の剪定方法
ユキヤナギの剪定方法は、枯れた枝、古い枝、混み合った枝などの、不要枝を地際から切り取りましょう。樹勢の強い長く伸びた枝は花芽が付きにくですから、翌年のお花が咲く時期の樹形をイメージして、枝の長さを1/3~1/2程度残すようにして切り詰めていきましょう。
また、毎年の切り詰めと、3年~5年程度に1度くらいには、株元から全ての枝を刈り取ってみましょう。刈り取りによって発育が促され、育成が促進されます。
ユキヤナギ(雪柳)の増やし方
ユキヤナギのふやし方は、挿し木と株分けがあります。挿し木は、3月上旬から下旬に、株分けは、2月中旬から3月下旬、又は、10月上旬から11月下旬に行いましょう。
ユキヤナギの剪定の時期や剪定方法、育て方のコツなどを、プロの庭師がお伝えしてきました。このページでご確認いただいたことを行っていただければ、毎年美しいお花の姿を見ることができると思います。しかしながら、万一、樹木の調子が悪そう、切りすぎて枯れそう、大きくなりすぎて手が出せないなどのお困りごとがあれば、庭.proにご相談ください。プロの庭師が現状をチェックした上で、適切なメンテナンスを施します。樹木医もおりますので、樹木に関する不安ごとはお気軽にご相談ください。
2024年1月26日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎