一方で、成長が早く放っておくと枝や葉が茂ってモサモサになってしまい、シマトネリコの特徴ともいえる「涼し気でさわやかな印象」が損なわれてしまうことがあります。そうならないうちに丁寧に剪定することを心がけましょう。
しっかりと愛情を持って、細かに手入れすれば、おどろくほどきれいな株立ちになり、お庭の印象をぐっと良くしてくれます。このページでは、シマトネリコの剪定の時期や剪定方法、育て方のコツなどを、プロの庭師が伝授いたします。
目次
シマトネリコの基礎知識
シマトネリコの特徴
シマトネリコの剪定のタイミング
シマトネリコを剪定をするメリット
シマトネリコの剪定方法
シマトネリコの株立ちを整える方法
シマトネリコの樹形見本
シマトネリコの育て方
シマトネリコの病害虫
まとめ
自分での剪定は事故に注意!
シマトネリコの基礎知識
学名:Fraxinus griffithii
科名:モクセイ科
属名:トネリコ属
原産地: 台湾、中国、インド、フィリピン、沖縄
和名:シマトネリコ
英名:Griffith’s ash
樹高:高木 10m
常落区分:常緑性
日照:日なた
耐暑:強い
耐寒:やや弱い
開花期:6月~7月
花色:白
剪定時期:3月〜4月上旬、6月~7月上旬、9月~10月上旬
シンボルツリー:シマトネリコは、シンボルツリーとしても人気のある庭木です。病害虫が付きにくく育てやすいことも人気の秘訣。外構エクステリアにもマッチする目隠しもなります。株立ちの美しい樹形は、洋風のお家のシンボルつきーにお似合いです。詳しくはこちらから
花言葉:偉大、服従、思慮分別、高潔、荘厳
シマトネリコの特徴
シマトネリコは、モクセイ科トネリコ属の常緑樹。1年中緑の葉をつけます。自然界では10mくらいまで成長することがあります。フィリピンや沖縄などの南国生まれの樹木で生長が早いので、大きくなりすぎないよう注意しましょう。
暑さに強く育てやすいところも特徴で、洋風、和風を問わず、雑木やナチュラルガーデンのお庭のシンボルツリーとして根強い人気があります。また鉢植えにしてリビングを彩るインテリアとしてもぴったりです。背丈が高く見栄えがするので、お部屋に置くアイテムをお探しの方にもおすすめです。
シマトネリコの剪定のタイミング
3〜4月上旬、6~7月上旬、9~10月上旬の期間なら見た目を整える剪定に適しているとされます。
7月終わりから8月にかけてお花が咲きます。花が見たいなら、開花前の6〜7月上旬の剪定は避けましょう。
シマトネリコを剪定をするメリット
シマトネリコはつやのある明るい葉とさらさらとした枝葉から、お庭に清涼感をあたえてくれる樹木ですが、葉が茂りすぎると清涼感が失われてしまいます。毎年、枝を間引いて透かした状態にすることにより、清涼感を保ち、爽やかなイメージを演出できます。また、生長が早く大きくなりやすい樹木なので、主幹を切り詰める剪定を行うことにより、高さを維持したり、樹形を小さく保つことができます。
シマトネリコの剪定方法
シマトネリコは生長が早く、1年間に50㎝~60㎝は成長し、放っておくと管理できないほど高くなるので、剪定が必要です。管理しやすいサイズに調節したり、見た目を整えたりすることが剪定の主目的になります。
準備するもの
- 清潔な剪定バサミ
- 切り口に塗る癒合剤
剪定方法は?
シマトネリコの剪定の基本は、枝の生えぎわから切り落とすことです。生長の見込みのない古い枝を切って量を減らし、新しい枝に高さをそろえましょう。樹高を一定にしておきたい場合は、切り戻し剪定を毎年行うとともに、枝を間引く透かし剪定を行い、風通しの良い樹形を保つようにしておきましょう。
手順
①幹から生える枝は1つずつ
メインの幹になる枝の先が複数あれば1本にする
②外側の枝を切る
切るべき枝は「古く太い枝」。バランスを見ながら切っていきます
③不要枝を切る
「下向き・内向き・伸びすぎ・同じ向き(平行)」な枝を切る
④高さを整える
若く新しい枝の高さに合わせて全体が楕円になるよう高さを揃える
⑤樹形を整える
全体のバランスを見て、枝の数が多い部分を減らして量をそろえる
⑥癒合剤でケア
切り口に癒合剤を塗る
シマトネリコの株立ちを整える方法
シマトネリコは1つの根元から複数の幹が生えていることがほとんどです。この状態を「株立ち」といいます。
株立ちする植物は、美しさを引き出すために剪定でその形を整えてあげる必要があります。シマトネリコは12月の間に株立ちを整えます。
株立ちを整えるには?
真上から見下ろしたとき、中心となる1本の大きな幹の周りを囲うように複数の幹が生えていることが理想です。
したがって、「幹の生えぎわ付近の枝」や「大きな幹の内側へ向かって伸びている枝」など不要な枝を適度に剪定しましょう。
剪定の注意点
シマトネリコは丈夫な木ではありますが、剪定方法を誤ると弱ってしまうのは他の木々とは変わりません。下記のポイントに注意をしましょう。
1. 一度にたくさん切らない
一度に全部切り落としてしまうと、木に大きな負担をかけます。気になるところを数本ずつ、時期を見ながら切っていくのがポイントです。切る際は、全体を楕円形や扇型の樹形に整えることを意識します。
余分に伸びた枝や樹形を乱している枝から剪定して、様子を見ながらまた剪定をする、といった流れで進めます。
2. 影になる葉を作らない
シマトネリコは成長が早く、放っておくと枝葉がどんどん伸びていきます。枝葉が伸びればその分1つひとつに当たる日光の量が減り、貧相な枝ぶりになってしまいます。それを防ぐのが「透かし剪定」です。「透かし剪定」は、1つ1つの葉に十分な日光が当たるように剪定する方法。
葉が重なり合っているなら、新芽の少し上あたりでどちらかを切り落としましょう。
3. 清潔なハサミを使う
どの樹木にも言えますが、剪定する際は「清潔なハサミ」を使いましょう。例えば、ノコギリで剪定すると切り口が汚れたり傷ついて、病原菌が侵入しやすくなり、結果その部分から枯れていきます。
また、切り口には癒合剤を使って、ケアすることを忘れないようにしましょう。
■剪定方法をさらにくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。
シマトネリコの樹形見本
こちらはお客様宅のシマトネリコの剪定前と剪定後の写真です。樹高を抑え、風通し良いように透かしています。
ご自身で剪定を行う場合は、このような樹形と透かしとなるように、切っていきましょう。
剪定前 | 剪定後 |
シマトネリコの育て方
シマトネリコは、寒さにも暑さにも強く、洋風、和風や和モダン、ナチュラルガーデン、雑木のお庭のシンボルツリーとしておすすめです。
日当たり
日当たりのよい場所を好みます。
水やり
植えつけてから2年未満の若株は、土の表面が乾いたらたっぷり水をあたえます。植えつけて2年以上たつ株は自然雨で育てることができます。
肥料
2月ごろに寒肥(元肥)として有機質肥料を株元にあたえましょう。
植え付け
シマトネリコの植え付けは3月中旬~下旬、9月下旬~10月中旬が適期です。
日当たり、水はけのよい肥沃な場所を好みます。
シマトネリコの病害虫
とくに問題となる病害虫の発生はありません。
■害虫対策をくわしく知りたい方は、下記の記事がおすすめです。
まとめ
常緑樹ながら涼しげな葉姿が魅力の「シマトネリコ」は、洋風、和風を問わずお庭のシンボルツリーとして人気の樹木です。
シマトネリコは丈夫で、剪定で切り過ぎても時期を間違えなければ枯れる心配はほとんどありません。丁寧に剪定を繰り返せば、次第に自分好みの形になり、より一層愛着が湧いてくるでしょう。
万一、樹形がおかしくなってきた、切りすぎて枯れてしまいそう、大きくなりすぎて自分では剪定できないなどのお困りごとがあれば、庭のプロ集団『庭.pro』にご相談ください。プロの庭師が現状をチェックした上で、適切なメンテナンスを施します。樹木医もおりますので、樹木に関する不安ごとはお気軽にご相談くださいね。
剪定マニュアルダウンロード
2024年1月30日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎