ナンテン(南天)は「難を転ずる」として、非常に縁起の良い木とされてきました。また煎じて飲むと喉に良くせき止め効果の高い生薬としても古くから利用さてきました。ナンテン(南天)は自然樹形を楽しむのが基本で、若木の段階で剪定する必要はありませんが次第に株元から発生する枝数が増えて込み合って害虫発生の原因、また株が増えすぎると花つきも悪くなってきますので、剪定の必要性が出てきます。
目次
ナンテン(南天)の基礎知識
ナンテン(南天)を剪定方法と時期
ナンテン(南天)の育て方
自分での剪定は事故に注意!
ナンテン(南天)の基礎知識
学名:Nandina domestica
科名:メギ科
属名:ナンテン属
和名:南天
形態:低木
樹高:2~3m
開花期:6~7月
花色:白
植え付け時期:2~4月
耐寒性:普通
耐暑性:普通
剪定時期:2~4月
日照:半日陰
記念樹:「新築・新居祝い」「帯祝い」「誕生日祝い」「子供の成長を願う」「願を立てたとき」「敬老・長寿祝い」「安全祈願」に向いています。「難を転じる」とされ縁起が良い樹木です。詳しくはこちらから
花言葉:「良い家庭」「福をなす」
日本、中国及びインドに分布する低木で秋には紅葉が美しく、晩秋になると赤い実がなり正月の床飾りなどの季節行事に広く利用されています。暑さ寒さにも強く丈夫で育てやすいこともあり、和風のお庭の定番として今も尚人気です。幹は枝分かれが少なく、まっすぐに伸びることから箸の材料にもなります。南天には、6〜7月に可愛らしい白い花が咲きます。上の写真は南天の花のつぼみです♪この白い花の後に、真っ赤な実がなります。実がなるのは11〜12月です。その様子から、南天の花言葉には「私の愛は増すばかり」というロマンチックな物から「機知に富む」「福をなす」「よい家庭」などがあります。
ナンテン(南天)といえば「のどあめ」を思い描く人も多いと思いますが、その他にも葉には殺菌・防腐の作用があり、乾燥させてお茶として飲むことで、ものもらい等にも効果があるといわれています。その他にも食品の防腐効果にも効果的で、食用としてではなく、弁当に入れて食中毒予防として活用されてきました。さらに、樹皮・根皮は胃腸病・眼病に効果的で、昔から薬用の木として重宝されてきました。しかし葉には有毒成分となるアルカロイドが含まれているため、特に咳を鎮める作用があるドメスチンというアルカロイドは、必要以上に摂取すると知覚や運動神経の麻痺を引き起こす恐れがあります。医学的知識のない方が安易に扱うのは危険なので、注意してください。
ナンテン(南天)の剪定方法と時期
ナンテン(南天)は、放っておくとどんどん伸びてしまうほど、生命力があるため定期的な剪定をオススメします。
剪定時期は2月~4月が最適です。この時期はちょうどナンテン(南天)の実が終る頃になります。
剪定の手順ですが
①根元から切る
地面に近い根元の方から生えている枝の数が増えて、込み合ってくると風通しが悪くなり害虫が発生しやすくなります。害虫被害を防ぐ為にもまずは根元から切って枝数を減らしていきましょう。少し寂しくなりすぎたかなと思うくらいでちょうど良いです。
②枯れ枝、元気の無い枝を切る
見た目の問題だけでなく枯れ枝や元気の無い枝を切る理由はこのような枝は新しい枝の大事な栄養を奪っているからです。その為にも迷うことなく切っていきましょう。剪定のポイントは元気の枝の付け根から切ることです。
③樹形を整える
ナンテン(南天)は大半の枝が手の届く範囲にある為ついつい手を加えたくなり、整えたくなってしまいがちですが理想は自然な仕上がりです!正面を決めて奥側を高めに残して、手前を低く剪定して高低差をつけると見栄えが良くなります。また少し上級者編ですが、日当たりなどで成長に左右差が出るようであれば少し先を見越した剪定にチャレンジするのも良いと思います。
また一度開花、実が付いた枝は翌年花が咲いたり、実を付ける事が少ないので咲いた翌年は切り戻し剪定を行いましょう。切り戻し剪定とは???の方に説明すると、花が咲き終わった枝を切っていく剪定を言います。これは先ほどお伝えした咲き終わった花の枝は翌年花が咲かない事とその枝から栄養を取ってしまうのを防ぐ為に切るので、時期的には6月ごろになります。躊躇せずなるべく地面に近い位置にある枝を落としていきます。理想を言えば枝分かれしているところや芽の直ぐ上のところから切るほうが良いです。ナンテン(南天)は強いのであまり神経質にならずにチャレンジしてみて下さい。
もしどうしても剪定をする勇気が無い、道具が無い、失敗するのが怖い…という方は、プロの庭師に相談されるのも良いでしょう。
ナンテン(南天)の育て方
ナンテン(南天)は日当たりの良い場所でも、日陰でも良く育ちます。白く小さな可愛らしい花を咲かせたい場合や、しっかりと赤い実をつけさせたい場合には、半日陰のようにで明るい場所が良いでしょう。日当たりが良すぎる場所、特に真夏の西日が直接当たる場所は、土が乾燥しやすく、葉が枯れてしまうことがあるので注意が必要ですがそれ以外であれば容易に栽培できます。耐寒性もあるので、霜が発生したり積雪があったとしても、枯れることがありません。
ナンテン(南天)は自然の雨水だけでも充分に育つのが特徴で、初心者でも栽培しやすいポイントになっています。肥料に関しては、実に影響してきますので、どのように実らせたいかを自分なりに考慮して対応すると良いでしょう。代表的な肥料としては、油粕、鶏糞、化成肥料が挙げられます。施肥のたいみんぐは2月ころが最適です。基本的には肥料は与えなくても比較的元気に育ちますが与えすぎると、冬の赤い実の状態が悪くなってしまうことがあります。赤い実は地面で、自然に発芽してきます。実は鳥の好物なので、庭で鳥がついぱんで、そのまま種子が庭土の表面に落ちて、春に発芽して増えていくこともあります。
害虫被害ですがナンテン(南天)そのものにも抗菌作用があるため、被害にあいにくく、植えた場所の衛生維持にも効果的です。
しかしカイガラムシが発生することもあり、それがすす病の原因になります。原因はカイガラムシの排泄物で、すす病になります。葉が黒くなっていたり、何か綿状のものがベッタリと付着しているのを見かけたら、枝ごと除去しておくのがベストです。どの樹木そうですが蜘蛛が巣を作ることがあります。蜘蛛そのものは害虫を捕食してくれるので歓迎される虫ですが、蜘蛛の巣の糸に害虫が付着し、捕食された後の残骸が巣に付着したままの状態になってしまうことがあります。蜘蛛の巣が発生することで、虫が寄ってきてしまうという要素も出てきますので、古くなった蜘蛛の巣は、枝や割り箸などで除去しておくほうが良いでしょう。
2022年2月15日(2023年9月21日更新)
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎












