庭木や花木は、樹種によって性質もさまざまで、一年間のサイクルも異なっています。そして、庭木は種類によって最適な植え付け時期も異なっていますから、その樹木の適期に植え付けを行いたいものです。このページでは、庭木の種類ごとに、植え付けの適期をプロの庭師が解説致します。
庭木の植え付け時期の重要性
庭木や花木などは一度植えると移動するのは至難の業ですね。庭木や花木が元気よく育ち、美しい姿を長く楽しめるようにするには、やはり最初の植え付けが大切です。そして一番重要なのが植え付ける時期です。植え付ける時期を間違ってしまうと、樹勢が弱くなり、生育に影響し、伸びなかったり、お花が咲かなかったり、実がならなかったりするので、その庭木の適期を確認してから植え付けを行いましょう。
庭木の植え付けの適期
庭木の植え付けの適期は、植え付け後に活着しやすいかどうかという点が一番のポイントで、樹木などの植物の一年間の成長サイクルの中で、どの時期が一番根付いて成長する時期なのかということですが、庭木などの樹木の種類によって異なるので、それぞれの適期を確認して植え付けを行いましょう。
常緑樹
常緑樹は2月下旬から11月頃までの間にそれぞれの樹種によっての適期があります。
常緑針葉樹のマツやヒバの種類では、2月下旬~5月上旬頃と9月~10月が適期です。
常緑広葉樹のカシ、シイ、イヌツゲなどは、3月下旬~6月上旬と9月~10月が適期ですが、サザンカやゲッケイジュなどの暖地性のものは、4月下旬と9月が植え付けの適期です。
また、タケやササ類などは、ホウライチクは7月~8月、シホウチク10月~11月、カンチク12月~1月頃など、種類によって植え付け時期は異なるので、適期を調べてから植えつけましょう。
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落葉樹
落葉樹は、葉が落ちた後の、11月下旬~翌年3月上旬頃までが植え付けの適期です。
落葉樹は、秋になるとが落ちて、冬の期間は休眠状態となります。この木が眠っている間に植え付けをしたり、動かしたりするわけですが、この時期は樹木の負担を最小限にすることができるからです。
しかしながら、庭土が凍ったり、霜柱が下りたりという状態では、庭木の負担も高まりますので、そのような厳寒期は避けて植え付けを行いましょう。
また、落葉樹でも、サルスベリやザクロのように、芽出しの遅いものは、4月~5月になってからの植え付けの方が、活着しやすいと言われています。
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植え付けを避けるべき時期
庭木の植え付けを避けるべき時期は、夏と冬です。
植物にとって、夏日となる8月~9月は、水切れと直射日光による葉枯れのリスクが高い時期となります。
気温の下がる冬は、日差しも弱く水を吸い上げる力も弱まり、土壌の過湿による根腐れと、低温による凍害のリスクなどもあるので、避けた方が無難です。
ドライ系熱帯植物
ドライ系の熱帯植物とは、ドライガーデンなどに用いられるサボテンや多肉系の植物の総称ですが、よく知られているものでは、アガベ、ユッカ、サボテン、ソテツ、ヤシなどがあり、アフリカ、メキシコなどの熱帯地域の原産種が主に植えられています。
このようなドライ系の熱帯植物は、お庭などの地植えを行う場合もありますが、販売されるまでの間は、基本的には温室で育っていることが多いですから、植え付ける環境に慣れさせるために、樹勢が強い期間=暖かい時期に植え付けを行うのが最適です。ドライ系熱帯植物は、寒さに弱い樹種が多いため、寒さに慣れるまでの期間をできるだけ長く取れる、春の植え付けが最適です。しかしながら、元々、寒さに弱いものが多いため、その植物の耐寒温度と耐寒性ゾーンを調べてから、購入、植え付けを行いましょう。
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グランドカバー
グランドカバーは、芝生やクラピア、クローバーに芝桜などが有名ですが、ポット苗とマット苗、種まきなどの種類があります。ポット苗の植え付け時期は、秋(10月~11月)と春(3月~5月)が適期ですが、マット苗はポット苗に比べて耐性が高いので、植え付け時期はポット苗の適期前後まで可能です。
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宿根草・一年草
宿根草、一年草の植え付けは、その年の苗が出回る4月~5月と9月~10月ですが、大半は春の植え付けの適期に出回っています。特に一年草などは、春に植え付けた方が鑑賞期間も長くなります。
庭.proでは庭木の植え付け、移植の適期を最優先として、ご要望をいただいた庭木の植え付けを行っていますので、こ希望に添えない時期もございます。ご希望の庭木の植え付けに適していない時期については、その時期に適した庭木などをご提案させていただいております。
庭木の植え付けは、やり方とその植物に適した時期が分かれば、ある程度は自分でも行えます。
ポイントは、その庭木の植え付けに適した時期に、適した植え付け方法で植え付けることです。樹木は生き物ですから、人間と同じように、酸素や栄養が必要なので、人と同じように大切に扱ってあげてくださいね。
どうしても難しいようなら是非ご用命くださいね。庭木のメンテナンスはこちらから
2024年1月26日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎