庭木にぴったりのオージープランツ|【ティーツリー(メディカルティーツリー)】の育て方のコツをプロの庭師が伝授します
爽やかな香りが特徴のティーツリー(メディカルティーツリー)。軽やかな樹姿と香りのある葉を年中楽しめ、春には花も楽しめる庭木にぴったりのオージープランツ(オーストラリアンプランツ)です。オーストラリア原産なので乾燥に強いと思われますが、実は水が大好きです。特に鉢植えでティーツリーを枯らさないコツは、水の管理です。ここでは、詳しい育て方や水やりの仕方、剪定のコツなどを解説します。
目次
ティーツリー(メディカルティーツリー)の基本情報
ティーツリー(メディカルティーツリー)の特徴
ティーツリー(メディカルティーツリー)の育て方
ティーツリー(メディカルティーツリー)の病気と害虫
ティーツリー(メディカルティーツリー)の剪定方法
ティーツリー(メディカルティーツリー)の増やし方
まとめ
ティーツリー(メディカルティーツリー)の基本情報
分類:フトモモ科メラレウカ属
学名:Melaleuca altemifolia
英名:Narrow-leaved Paperbark、Tea tree
別名:メディカルティーツリー、アルテルニフォリア
原産地:オーストラリア
樹高:5〜6m
葉張り:1〜3m
常落区分:常緑高木
耐寒性:−2℃前後
耐暑性:強い
開花期:5〜6月
花色:白
用途:庭木、シンボルツリー、ハーブ、ドライガーデンなど
剪定時期:6〜7月
花言葉:清潔、強い味方
ティーツリー(メディカルティーツリー)の特徴
メディカルティーツリーはオーストラリア原産の常緑高木で、葉に香りがあり、精油でも人気のオージープランツ(オーストラリアンプランツ)のひとつです。オーストラリアでは古くから薬用などに用いられてきたため、メディカルティーツリーと呼ばれます。苗は、品種名のメラレウカ・アルテルニフォリアという表記でも出回ります。
丈夫で病害虫も少なく、開花時期には株いっぱいに白い花を咲かせる姿も見事です。暑さや寒さにも比較的強く、関東以南では地植えができます。剪定もしやすく、育てるのはそこまで難しくありません。ただし水が大好きで、鉢植えでの栽培では水の管理が難しい面があります。
ティーツリーという名称と違い
フトモモ科には、ティーツリーという名前のつく植物がいくつかあります。これらは、オーストラリアの先住民が葉を煎じて飲むのを見たイギリスの探検家・キャプテンクック一行が「ティーツリー(お茶の木)」と名付けたという話が有名です。
その中でも一般的にティーツリーと呼ばれ、アロマや化粧水などに使われているのがこのメディカルティーツリーです。先住民が皮膚の炎症や咳などの治療に使用し、抗生物質が出る前には薬用として欠かせないものともなりました。ですが、メディカルティーツリーは飲用にはあまり向かず、お茶の葉として用いられることはほとんどありません。
ちなみにお茶として飲まれたのは、レプトスペルマム属ではないかと言われています。レプトスペルマムについての詳しい記事はこちら。
良い香りと成分
メディカルティーツリーは、すっきりとした清涼感のある香りが特徴です。森林の香りとも言われ、リフレッシュ効果があるとされています。
メディカルティーツリーに多く含まれるテルピネン4オールという成分には、抗菌作用・抗炎症作用などがあり、うがい薬やニキビケアなどにも用いられています。
またシネオールという成分には、免疫向上・抗菌作用などがあります。
個性的な樹皮
メディカルティーツリーを含むメラレウカ科のいくつかは英語ではペーパーバークと呼ばれます。
これは樹皮が何枚もの薄い紙が重なり合っているような質感で、成長するとそれが剥がれてくる性質を表しています。幹が充実してくると幹がねじれたような模様になって、成長すると剥がれてくる姿はかっこよく、個性的なシンボルツリーとしてもおすすめです。
ティーツリー(メディカルティーツリー)の育て方
水やり
オージープランツ(オーストラリアンプランツ)なので乾燥気味に育てるように思われますが、メディカルティーツリーの原産地は湿地帯で、特に水が好きです。土の表面が乾いてきたと思うくらいのタイミングたっぷりと水をあげましょう。夏は朝晩の2回、冬は風が強いと意外と土が乾燥しやすいので、様子を見ながら1〜3日に1回やります。
地植えの場合は多少の乾燥にも強くなります。植え付けてからしばらくは水をやりますが、ほぼ降雨で育ちます。
水切れさせると一気に枯れ込むことがあります。葉が黄色くなり乾燥してパラパラと落ちてくる場合は、水切れが原因です。この症状が現れたときは水を張ったバケツに1時間ほど鉢植えごと浸け、葉水も十分に行い、様子を見てみてください。暑い時期はどうしても水切れしやすいので、あらかじめ腰水につけておくのも良いでしょう。
日当たりと置き場所
日当たりが良い場所を好みます。暖地では地植えができます。耐寒性も比較的強く、ある程度大きくなれば多少の雪でも耐えます。ですが枝が折れやすく、雪が積もるような寒冷地では鉢植えがおすすめです。根元をマルチングするなどの防寒対策を行い、冬は軒下などに取り込みます。
風通しの良い場所を好みますが、枝が折れやすいので強風が当たる場所は避けて植えましょう。また生育旺盛で20cmほどの苗でもどんどん大きくなるので、スペースを十分確保できる場所が適しています。
肥料
メディカルティーツリーは肥沃な土壌を好む植物ではありますが、肥料はほとんど必要としません。植え付け時に緩効性肥料や有機肥料を混ぜ込みます。追肥をするのであれば、春の成長期、液体肥料は通常の倍以上薄めたものや有機肥料を施します。
植え付けと植え替え
メディカルティーツリーは、水はけが良く、水持ちの良い土を好みます。オージープランツ(オーストラリアンプランツ)だからと水はけの良さだけを重視すると、特に夏は水切れしやすくなります。草花用培養土でも育ちますが、赤玉土やパーライトなどに腐葉土やバーク堆肥などを配合するのがおすすめです。根を触られるのが苦手なので、根鉢はなるべく崩さないように植え付けます。
ティーツリー(メディカルティーツリー)の病気と害虫
香りのあるメディカルティーツリーは病害虫に強い植物です。ただし、用土の中にコガネムシやカミキリムシの幼虫などが入ることがあります。急に水の吸収が悪くなったり、葉が落ちたりなどしてきたら土の中を確認してみましょう。
また、風通しが悪いとカイガラムシがつくこともあります。剪定などをして風通しをよくして予防し、見つけたら歯ブラシなどでこすりとって駆除します。
ティーツリー(メディカルティーツリー)の剪定方法
夏に花芽をつけるので、剪定の時期は花後から7月中までが適当です。大きくなりすぎた株を整えるための剪定は秋でもかまいません。
メディカルティーツリーは生育旺盛で大きくなりやすく、樹形が乱れがちです。放置すると大きくなりすぎたり、バランスが悪くなって強風で倒れてしまったりすることがあります。なるべく毎年剪定してあげるとよいでしょう。小さい苗でも、定期的に剪定することによって枝数が増えたり主幹が太くなって、丈夫な株に育ちます。メディカルティーツリーは太い主幹を切り戻しても成長期の春には切り口からたくさん枝を出してくれるので、高さを抑える剪定もしやすい植物です。
剪定のコツ
まず内側に向いた枝や混み合った枝を整理して風通しをよくしましょう。また、ほかの枝より極端に太い枝やまっすぐ太く伸びる徒長枝(とちょうし)は、樹形を崩してしまうので根元から剪定します。枝の太さを揃えることによって、樹形もよくなります。
高さを抑えたい場合は、全体の2/3か1/2ほどの場所で切り詰めます。萌芽力が強いので、葉を残さなくても大丈夫です。太い枝を短く切りつめたり、多くの枝や芽を切り落とすような強剪定は真夏と真冬を避けた時期に行いましょう。
ティーツリー(メディカルティーツリー)の増やし方
揷し木で増やすことできます。その年に伸びた枝を10cmほどにカットし、葉っぱを3〜5枚ほど残して下葉は落とします。切り口に発根剤などを塗り、赤玉土などの用土に挿します。根が出るまでは土が乾燥しないように、常に湿らせた状態を保ちます。腰水につけておくのもおすすめです。
まとめ
メディカルティーツリーは、剪定した枝もたっぷり楽しめるのが魅力。おうちに飾って切り花として香りを楽しんだり、葉をお風呂に入れるとリラックス効果にもなります。強健で育てやすいので、オージープランツ(オーストラリアンプランツ)初心者にもおすすめのシンボルツリーです。ただし鉢植えは水切れには要注意です!ぜひメディカルティーツリーを取り入れたお庭づくりに挑戦してみてくださいね。
2024年1月26日
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎