カリン(花梨)は、中国を原産とするバラ科の落葉高木で、花や幹は鑑賞価値が高く、果実は薬用や香りを楽しむなど実用的価値が高い樹木で、直立性の樹形となるためシンボルツリーとしても活用されています。
このページでは、カリン(花梨)の剪定の時期や剪定方法、育て方のコツなどを、プロの庭師が伝授いたします。
目次
カリン(花梨)の特徴
カリン(花梨)の剪定時期
カリン(花梨)の剪定をしてはいけない時期
カリン(花梨)の剪定方法
カリン(花梨)が枯れる原因
カリン(花梨)の肥料
カリン(花梨)の病気と害虫
カリン(花梨)の増やし方
まとめ
自分での剪定は事故に注意!
カリン(花梨)の特徴
カリン(花梨)とはどういった特徴をもつ木なのでしょうか。
分類:落葉高木
原産地:中国
樹高:6~8m
常落区分:落葉性
日照:日なた
耐暑:強い
耐寒:強い
開花期:4月~5月
葉張り(樹冠の横幅):2~5m
花色:ピンク
果実色:黄
果実熟期:10月~11月
剪定時期:12月~2月
用途:シンボルツリー、庭木
和名:カリン(花梨)
記念樹:カリンは、開業、開所祝いなどの記念樹として用いられています。カリンはその名前から、お金は貸すが借りんの縁起を担ぎ、お庭の表にカリンを植え、裏にカシを植え、商売繁盛を願い植樹されています。詳しくはこちらから
花言葉:「豊麗」「唯一の恋」「優雅」
カリンは、のど飴の原料としてよく知られています。また、咳どめ効果があるため、カリン酒なども多く利用されています。そして生長したカリンの木肌は、所々樹皮がうろこ状に剥がれ、美しい黄褐色の紋様が特徴的で、その美しい姿を生かした、鉢植えや盆栽などにも仕立てられています。
カリン(花梨)の剪定時期
カリン(花梨)の剪定時期は、12月~2月が適期です。
カリンの剪定には、日当たりや風通しをよくすることと、樹形を整えるということが主な目的ですが、落葉樹の休眠期である、12月~2月に剪定を行うことで、樹木に一番優しい時期となり、剪定での影響は最小限にとどめることができます。また、落葉樹の休眠期は葉が落葉し枝だけの状態のため、枝ぶりが分かりやすく、剪定が行いやすいとも言えます。
そして、樹木の生長によっては夏時期(7月頃)にも剪定を行いましょう。この時期の剪定は、樹形を整える程度の軽剪定で、ひこばえや徒長枝などの、樹形を乱している不要枝を切り取りましょう。
カリン(花梨)の剪定をしてはいけない時期
カリン(花梨)は、7月~8月に花芽が分化しますから、この時期以降の剪定では、花芽を切り落とさないように注意して剪定を行いましょう。また、梅雨時期には切り口から雑菌が入る場合もあるので、切り口は保護剤で保護しておきましょう。
カリン(花梨)の剪定方法
カリン(花梨)の剪定では、樹形を整え、花をたくさん咲かせるために行う剪定と、樹形を整える剪定の2種類の剪定が主な作業です。
カリン(花梨)が、葉を落として休眠期に入る、12月~2月の間の剪定では、切り詰め剪定を行いましょう。切り詰め剪定では、樹高の想定以上に長く伸びすぎた枝を、想定の樹高程度に切っていきましょう。カリンは、長い枝には花芽を付けないため、短い枝の花付きをよくするためにも、長い枝を切って短い枝にしていきましょう。
また、カリンは上に向かって真っすぐに伸びる特徴のある木ですから、勢いよく垂直に伸びる枝、他の枝と絡みあっている枝は、日当たりと風通しを良くするために、付け根から切り落としましょう。
切り詰め剪定や太目の徒長枝などを切った場合は、切り口からの雑菌の侵入を防ぐために、切り口に癒合剤を塗布して保護をしておきましょう。
基本的な剪定方法、剪定するべき不要枝の詳細はこちらをご確認ください。
カリン(花梨)が枯れる原因
カリン(花梨)が枯れる多い原因は、病害虫と剪定時期の間違いです。カリンの剪定時期は冬の休眠期ですが、この適期以外の時期に強剪定をし過ぎると株を弱らす原因になり、ダメージが大きい場合は枯れることとなってしまうので、剪定時期を間違えないように注意しましょう。
カリン(花梨)の肥料
カリン(花梨)は、植え付け時には球肥を3~4個程度埋め込みましょう。そして、地植えの場合は2月と10月、鉢植えでは2月、5月、10月が肥料の適期となります。2月の施肥には、緩効性の有機質肥料を、5月、10月には、液体肥料などの即効性の化成肥料などを施しましょう。どちらの場合も多肥にはならないように注意しましょう。
施肥の詳細はこちらをご確認ください。
カリン(花梨)の病気と害虫
カリン(花梨)につきやすい害虫は、アブラムシ、シンクイムシ、テッポウムシです。気を付けたい病気は、赤星病、
黒星病に罹りやすいので、日々の確認を行いましょう。
病害虫の防除はこちらをご確認ください。
カリン(花梨)の増やし方
カリン(花梨)は、接ぎ木で増やすことができます。「休眠枝接ぎ」や「芽接ぎ」という方法で接ぎ木を作ることができます。台木は、種から育てた苗木を使いましょう。また、カリンは、種から苗木になるには約3年、実がなるまで7年8年程度は要すので、市販の苗を購入するのが良いかも知れません。
まとめ
カリン(花梨)は、のど飴やシロップ、かりん酒などに利用できる果樹です。春の紅色お花に秋の実の収穫まで、お手間はかかりますが、鑑賞する喜び、実を収穫できる喜び、そして、育てる喜びが味わえる貴重な果樹です。9月~11月には、カリンの実が緑から黄色に熟れ、良い匂いが漂ってきたら収穫期です。そして休眠期を経て、春のお花へ続いていきます。そんな四季をを感じるお庭にも、少し手間をかけてみませんか。
お庭に植える樹木選びから、剪定やお世話などまで、庭のプロ集団『庭.pro』までご相談ください。綺麗な庭で皆様の暮らしが豊かになれば幸いです。
2024年1月29日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎