自宅のお庭には、お花を楽しむ庭木、枝ぶりを楽しむ庭木などを植える方も多いですが、実は実がなる樹木を中心に植えられている方も結構いらっしゃるようです。
私の自宅にも、カキ、アーモンド、サクランボ、シークワーサー、スダチ、オリーブを植えていますが、樹木系以外にも、右回りに、フキ、ミョウガ、ネギ、ニラ、ミニトマト、パセリ、イタリアンパセリ、アスパラガス、春菊、カボチャ、ミツバ、トマトを植えています。また、挿し木でオリーブ、サクラ、サクランボ、アーモンドを育てています。観賞用では、多肉植物とアガベにチャレンジ中です。6/10現在ですが、こうやってみるとたくさん植えていますね~。
こんな風に、お庭か畑かわからないようなところもありますが、命の源である口に入るものを育てるというのは、育てる楽しみといただく楽しみと二つの楽しみがあるので、毎日の水やりや防虫に消毒など、丹精込めてお世話を行っています。
でも、今年はシークワーサーとスダチにはお花が咲かず、実もなっていません。柑橘類は隔年という話しは良く聞きますが、毎年、お花が咲いて、実がなるようにはできないものでしょうか。
そんな悩みをかかえている方に、このページでは、雌雄同株と異株、おしべとめしべ、リン酸とカリウムなどの、実をつける要素とポイントについてプロの庭師が解説いたします。
植物には雌雄同株と異株がある!?
実を付けさせるためには、まず花を咲かせなければなりませんが、すべての花が実になるとはかぎりません。たとえば、カキやアケビのように同じ木に雌花と雄花が別々に咲き、雌花が雄花の花粉を受けて結実する樹種があります(雌雄同株)。一方、アオキやウメモドキなどは、雌花だけ咲く「雌木」と、雄花だけが咲く「雄木」があり、結実するのは雌木だけとなっています(雌雄異株)。
実を楽しむには、まずはこの点をしっかりと認識しておく必要があります。
めしべとおしべの両方があるって!?
ブドウ、ウメ、モモなどの花は、ひとつの花の中にめしべとおしべを持っているので、本来は自分の花の花粉で結実する(自家稔性)ことができるのですが、おしべの花粉が少なかったり、花粉が出なかったりする品種(自家不稔性)もあります。
このような木の場合は、花粉の多い品種を一緒に植えたり、人の手で花粉を付けてやる(人口受粉)といった作業を行うことになります。
リン酸、カリ分を多めに与えましょう
庭木は、炭水化物(略号はC)が多いほど、成熟して開花、結実します。小さな鉢植えでもよく花が咲き、実を付けるのは、人為的にC値を高め、窒素分を抑えたためです。良く実がなっていた鉢植えの木を庭に下ろしたら、花が咲かなくなったという話を聞きますが、窒素分が高まって元の若木にもどったからにほかなりません。
それでは、窒素分を与えずに、リン酸やカリ分だけを施せばよいかといっても、庭木の生育にはバランスの取れた栄誉分が必要です。窒素分が不足すると、実どころか花も咲かなくなってしまいますから、まったく与えないわけにはいきません。
そこでポイントとなるのが、リン酸とカリ分をほかの庭木よりも多めに与えるということです。複合肥料の多くは、NPKの配分比率が比較的均等になっていますから、それに骨粉(Pが多い)とか、草木灰(Kが多い)を加えると、結実に良い結果が得られます。
雌雄同株と雌雄異株リスト
雌雄同株
アカマツ | アケビ | アスナロ | イチジク | ウメ | エゾマツ | カキ | カボチャ | カラマツ | キュウリ | クリ | クロマツ | コブシ | サクランボ | スイカ | スギ | トウヒ | トウモロコシ | トチノキ | ナンテン | ハナミズキ | ハンノキ | ヒノキ | ピラカンサ | ビワ | ヘチマ | ボケ | マツ | マンゴー | メタセコイア | モミ | モミジ | モモ | ラズベリー | リンゴ
雌雄異株
アオキ | アオダモ | アスパラガス | イタヤカエデ | イチイ | イチョウ | カツラ | カヤ | キウイ | キハダ | クロガネモチ | クワ | ゲッケイジュ | サンショウ | ソテツ | ソヨゴ | タラヨウ | テンナンショウ | ナデシコ科 マンテマ属・ナデシコ属・ノミノフスマ属・シレネ属 | ツリガネニンジン | カンアオイ | ネズ | パパイヤ | ヒトツバタゴ | ビナンカズラ | フキ | ホウレンソウ | ホップ | マオウ | マメガキ | モチノキ科 | ヤナギ科 | ヤマアオイ | ヤマモモ
お庭にたくさんの果実が実ったら楽しいですね。ポイントは、お花を咲かせることができるように元気に育てること、実がなるように受粉の仕組みを知ること、実が付きやすい肥料を与えること、実が実るように剪定で適した葉数にすることです。植物は生き物ですから、人間と同じように、酸素や栄養が必要ですし、その木ごとの時期に応じたお手入れも必要ですから、人と同じように大切に扱ってあげてくださいね。
どうしても難しいようなら是非ご用命くださいね。庭木のメンテナンスはこちらから
2024年1月31日更新
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎