【ブラヘア・アルマータ】育て方の基本を庭師が伝授
2023.01.12
個性的なドライガーデンへ植えたい!|【ブラヘア・アルマータ】の育て方をプロの庭師が伝授します

知る人ぞ知る「ブラヘア・アルマータ」は、シルバーリーフの美しい葉を持つヤシ科の植物です。一般的なヤシに比べると、日本ではまだ流通が少ない部類のヤシですが、シルバーブルーの葉色が扇状に広がる姿に魅了されて、購入した人もいるかもしれませんね。
リゾート感あふれるドライガーデンの主役として是非検討していただきたい「ブラヘア・アルマータ」の育て方や、似合うおすすめガーデンスタイルを紹介するのでチェックしてみてくださいね。
目次
ブラヘア・アルマータの基本情報
ブラヘア・アルマータの特徴
ブラヘア・アルマータの育て方
日当たりと置き場所
水やり
肥料
用土
植え付け・植え替え
ブラヘア・アルマータの病害虫
ブラヘア・アルマータの剪定
ブラヘア・アルマータが似合うガーデン
まとめ
ブラヘア・アルマータの基本情報
分類 ブラヘア属
科名 ヤシ科
学名 Brahea armata
英名 Blue Hesper Palm , Mexican Blue Palm
和名 ブラヘア・アルマータ
原産地 メキシコ
樹高 6~15m
区分 常緑高木
耐寒性 強い -9.4℃ほど
耐暑性 強い
開花期 7~8月
花色 淡い黄色
用途 ドライガーデン、カルフォルニアガーデン、ロックガーデンなど
ブラヘア・アルマータの特徴

ブラヘア・アルマータの特徴は、なんといってもその美しい葉色。ヤシ科の植物には珍しいシルバーブルーの葉は、見る人を魅了するほどです。
ココスヤシの約3倍の価格といわれており、そのことからも希少価値のある植物ということがうかがえます。
ブラヘア・アルマータはメキシコ原産の植物なので、乾燥に非常に強い植物です。そして、うれしいことに寒さにも強い性質を持っているので、ドライガーデンへシンボルツリーとしてヤシ科の植物を育てたくても諦めていた、寒冷地にお住まいの方の救世主的な植物といえるでしょう。
原産地では、樹高6~15m程の個体もあるそうですが、ブラヘア・アルマータの成長速度はとても遅く、年間10cm程伸びる場合もあるともいわれますが、環境により差があるので、じっくり気長にお付き合いしてあげましょうね。
ブラヘア・アルマータの育て方

ブラヘア・アルマータは比較的手のかからない樹種ですが、その美しい葉色を保ちながら育てるためにはポイントがあります。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
日当たり・管理場所
ブラヘア・アルマータの葉色の美しさは、「太陽にあてて育てること」が必須条件。
室内で育てる人は、意識的に日当たりのよい場所へ出してあげましょう。1日に最低でも3~4時間以上は日光浴が必要です。
また、直射日光を好むブラヘア・アルマータは、屋外で育てるのがおすすめ。
耐寒性も-9.4℃ほどまであるので、東北地方中部以南の地域では、シンボルツリーとして楽しむことができるでしょう。
屋外で育てる際に注意したいのは、植えつける場所。
日光のあたる場所がベストといえますが、ベストなスペースが確保できない場合も、その他の環境によって半日陰でも育ちます。ただし日陰はNGなので避けてくださいね。
寒さに強いといわれているブラヘア・アルマータですが、幼苗に耐寒性はまだありません。
冬のシーズンは3年ほど屋内で慣らし、耐性がついたころに地植えにするのがよいでしょう。
水やり
ブラヘア・アルマータは、メキシコ北部バハ・カリフォルニア州固有のヤシ科の植物です。自生している場所は、ほとんどが砂漠の乾燥地帯。
夏には40℃以上にもなり、夜には気温がぐっと下がる、人が住むには厳しい環境のなかで生育しているので水がない環境に適応しています。
春~秋の生育期に水をあたえる際には、葉の状態と土の表面が乾いていることを確認してからにしましょう。
また、屋外に地植えにしたブラヘア・アルマータは、ほぼ水やりの必要はありません。
ただし、真夏の雨が降らないシーズンと、植え付け直後、半年~1年ほどは様子を見ながらあたえます。
乾燥に非常に強い反面、多湿が苦手なブラヘア・アルマータの水やりは「根腐れ」に注意しましょう。
冬の休眠期の水やりは環境状態にもよりますが、少なめを意識しながらあたえます。
葉の状態を観察しながら、多湿にならない水量を調整してみてください。
肥料
成長スピードが遅いブラヘア・アルマータは、春~秋に肥料をあたえ、少しでも成長を促しましょう。
2ヶ月に一度を目安にして、緩効性化成肥料を株元から離し、置き肥としてあたえます。
ただし他のヤシと同様、「肥料焼け」を避けるために、冬の休眠期には肥料をあたえないように注意が必要です。
休眠期に入っても肥料が残ってしまっている場合には、取りのぞくようにしましょう。
用土
多湿が苦手なブラヘア・アルマータの用土は、水はけのよい土選びが重要です。
赤玉土(4)、腐葉土(5)、くん炭1、苦土石灰(少量)の割合で混合してみるのもよいでしょう。
また、天然の土壌改良材「ココピート」は、とても軽く、pH調整も必要ない排水性のよい土として注目されています。
用土を混合する際には、ココピートを取り入れてみるのはいかがでしょうか。
植え付け・植え替え
ブラヘア・アルマータの植え付けと植え替えは、成長期の春~秋におこないましょう。とくに春先の5~6月がおすすめです。
地植えにする際には、土を高めに盛って植え付けすることで排水性がよくなり、多湿予防となるでしょう。
鉢で管理する際にも植えっぱなしにはせず、1~2年に一度の植え替えは必要です。植えたままの土は古くなり、栄養がほとんどない状態。
植え替えの際には、根を傷めないように古い土を落とし、新しい栄養たっぷりの土へ入れてあげましょう。植え替えたあとは、肥料と水を忘れずにあげてくださいね。
【植え替えで準備するもの】
・ひとまわり大きな鉢
・水はけのよい土
・鉢底ネット
・軽石やゴロ土など
・緩効性肥料
・グローブ
【植え替えの手順】
1.植え替えまえに、水はけのよい土を混合しておく
2.鉢底へ鉢底ネットをしき、軽石またはゴロ土をいれる
3.水はけのよい土を3分の1ほどいれる
4.ブラヘア・アルマータを鉢からそっと抜きだす
5.根鉢をやさしく崩し、鉢へ植え替える
6.緩効性肥料と水をあたえる
ブラヘア・アルマータの病害虫

ブラヘア・アルマータの病害虫の被害はほとんどない状態といえます。
強いていえば、ハダニやカイガラムシが発生することがあるかもしれません。
ハダニもカイガラムシも、早期発見で対処すれば大量発生することなく、植物への被害も最小限におさえられます。
ハダニやカイガラムシ専用の殺菌剤スプレーもありますが、初期の段階であれば必要ないでしょう。
カイガラムシは歯ブラシを使ってこすり落とし、ハダニは水に弱いので、直接シャワーをかけて洗い流す方法で充分ですよ。
害虫は風通しの悪い状態が続くことで発生しやすくなります。生育環境を見直すことや植物の状態をこまめに観察することが、害虫予防へとつながります。
ブラヘア・アルマータの剪定

古い葉が茶色く枯れてきたブラヘア・アルマータは、根元から剪定しスッキリとさせましょう。
成長が緩慢な分、古い葉をまめに剪定することで、栄養分を全体に行きわたらせることができます。
最大で直径40~50cmほどの幹へ成長するといわれているブラヘア・アルマータ。そのサイズまで成長させることは難しくても、少しでも大きくなるように、自分ができるお手入れはしてあげたいですよね。
手を掛けた分だけ、愛着も増していくことでしょう。
ブラヘア・アルマータが似合うガーデンスタイル
耐寒性が強いブラヘア・アルマータは、寒暖差ある地域で今までドライガーデンを諦めていた人へもシンボルツリーとしてもおすすめできる植物です。
ブラヘア・アルマータが似合うガーデンスタイルは「南国風リゾートロックガーデン」です。

「ドライガーデン」の中でも岩(ロック)とドライ系植物の組み合わせに、ヤシの木をシンボルツリーとした組み合わせが南国のリゾート感を醸し出してくれるスタイルです。
シルバーブルーの葉色をしたブラヘア・アルマータがアメリカ西海岸の海風が吹いてきそうな雰囲気のカルフォルニアスタイルにぴったりです。
ブラヘア・アルマータをシンボルツリーに、アガベや多肉植物などを配置して、スタイリッシュなドライガーデンを設計してみましょう。
まとめ
シンボルツリーにヤシ科を取り入れたいと思いつつ、寒暖差のためにドライガーデンの植栽を諦めていた人も、耐寒性のあるブラヘア・アルマータなら、憧れのガーデン設計が実現するかもしれません。
また、お手入れが楽で丈夫な上に、純粋に「植物の持つ葉色を楽しみたい」という人の願望まで満足させてくれる植物といえるでしょう。今回の記事を参考に、ドライガーデンのシンボルツリーとして検討してみてくださいね。
2023年1月12日
執筆者:造園技能士 竜門 健太郎


※関連サイト「KGコンシェルジュ」にリンクします。

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