心が安らぎ日々の生活に潤いを与えてくれる樹木。樹木を植えることで、お庭の印象も変わります。
でも実際に「何を選んで良いのかわからない…。」という方もいらっしゃると思います。東京にはどんな庭木がおすすめなのでしょうか?
この記事では、まず東京の気候を考察し、エリア別・カテゴリー別に分けて、東京でも育ちやすい庭木をご紹介します。ぜひ庭木選びの参考にしてくださいね。
目次
東京都にはどんな地域特性があるの?
東京の気候は?
耐寒性ゾーンとは?
東京をエリア別に見て地域に合った庭木を選ぼう!
【都心エリア】
【副都心エリア】
【23区西部エリア】
【23区東部エリア】
【多摩エリア】
東京の冬の特徴を月ごとに解説!
【12月】
【1月】
【2月】
東京におすすめの庭木をカテゴリー別に分けて解説!
東京でおすすめの落葉樹
1.ジューンベリー
2.サルスベリ(百日紅)
3. アオダモ
東京でおすすめの常緑樹
1.フェイジョア
2. シマトネリコ
3. キンモクセイ(金木犀)
東京でおすすめの果樹
1.オリーブ
2.ヤマボウシ
3.ブルーベリー
東京でおすすめの特殊樹
1.コルディリネ・オーストラリス(ニオイシュロラン)
2.黒竹
3.ワジュロ
東京都にはどんな地域特性があるの?

国営昭和記念公園(コクエイショウワキネンコウエン)※立川市緑町
日本の首都である東京都は、本州のほぼ中央にあります。高層ビルや興行施設も多いですが、「皇居」や「小石川植物園」、「毛利庭園」など緑豊かな庭園を楽しめる場所もたくさんあります。
もっと自然を近くに感じるために、自宅のお庭に庭木を植えたい!と考えていらっしゃる方も多いのではないのでしょうか。
シンボルツリーを1本植えるだけでも、お庭の雰囲気がグンとよくなります。せっかく植えた庭木を長く楽しむためには、その地の気候に合った種類は何があるのか調べてみると良いでしょう。
ぜひ、お気に入りの樹木を見つけて、大切に育ててみてくださいね!
東京の気候は?
東京都は比較的温暖で、秋に雨が多く、冬はよく晴れて乾燥するという特徴があります。また、高層ビルなどが気温、風などにもたらす影響が大きいことも特徴です。
23区内でも千代田区・中央区といった都心地域と練馬区・板橋区・葛飾区・足立区といった郊外部では、朝晩の気温に差が生じやすくなっています。
海に面する江東区・大田区などは海からの気候的影響も受けやすく、風や気温の変化・湿度などが内陸側と異なる場合があります。
耐寒性ゾーンとは?
園芸の世界では「最低気温」を段階別に分けた『耐寒性ゾーン(USDAハーディネスゾーン)』を参照することがあります。これは、植物が育つうえでどのくらいの寒さまで耐えられるのか、アメリカ農水省(USDA)が作った指標です。庭木を地植えにする際に参考にすると良いでしょう。
ちなみに、植物のラベルを見ても「耐寒性ゾーン」が書かれていることはほとんどにありません。調べるには「学名+zone」などで検索すると(ほとんどが英語のサイトですが…)見つけられるかもしれません。例えば「シマトネリコ」なら、学名「Fraxinus griffithii」と「zone」で検索して調べると、耐寒性ゾーンは「8~10」などと記載されていることが分かります。
耐寒性ゾーン表
3a | -37.2°C ~ -40.0°C | 3b | -37.2°C ~ -34.4°C |
4a | -34.4°C ~ -31.7°C | 4b | -31.7°C ~ -28.9°C |
5a | -28.9°C ~ -26.1°C | 5b | -26.1°C ~ -23.3°C |
6a | -23.3°C ~ -20.6°C | 6b | -20.6°C ~ -17.8°C |
7a | -17.8°C ~ -15.0°C | 7b | -15.0°C ~ -12.2°C |
8a | -12.2°C ~ – 9.4°C | 8b | – 9.4°C ~ – 6.7°C |
9a | – 6.7°C ~ – 3.9°C | 9b | – 3.9°C ~ – 1.1°C |
10a | – 1.1°C ~ 1.7°C | 10b | 1.7°C ~ 4.4°C |
11a | 4.4°C ~ 7.2°C | 11b | 7.2°C ~ 10.0°C |
12a | 10.0°C ~ 12.8°C | 12b | 12.8°C ~ |
※『PROVEN WINNER』サイトの「耐寒性ゾーンマップ」が分かりやすいので、参考にするとよいと思います。
東京をエリア別に見て地域に合った庭木を選ぼう!
東京都は大きく分けて、都心エリア・副都心エリア・23区西部エリア・23区東部エリア・多摩エリアの五つに分けられます。
【都心エリア・副都心エリア】

皇居東御苑(コウキョヒガシギョエン)※千代田区
大手町・丸の内などのビジネスエリアのある「都心エリア」
ショッピング街や興行施設が多くある「副都心エリア」
このエリアは住宅は少ないエリアです。高層ビルが建ち並ぶエリアで、日があたりにくい場所も多いため、日陰でも育つ樹木が植えられているケースを多く見かけます。
【耐寒性ゾーン】
都心エリア:「千代田区」「中央区」「港区」は《9a》ゾーンです。
副都心エリア:「渋谷区」「新宿区」「文京区」は《9a》ゾーン、「豊島区」は《8a》ゾーンです。
【23区西部エリア】

品川駅周辺
23区西部エリアは居住区としても人気の高いエリアです。単身世帯が多い都心エリア・副都心エリアとは異なり、家族層が多いのも特徴のひとつです。
都心エリア・副都心エリアと比べると「朝晩」の気温に差が生じやすく、耐寒性ゾーンは《8b》ゾーンのところも多くありますが、関東で育つ一般的な庭木ならほとんど問題なく冬を越せるでしょう。
【耐寒性ゾーン】
「目黒区」は《9a》ゾーンです。
「品川区」「大田区」は《9b》ゾーンです。
「世田谷区」「中野区」「杉並区」「練馬区」「板橋区」「北区」は《8b》ゾーンです。
【23区東部エリア】

柴又帝釈天 邃渓園(シバマタタイシャクテン スイケイエン)※葛飾区
下町の風情が残るエリアです。家族層も多く、マンションから戸建て住宅も多く建てられています。日本橋や浅草など、古き良き東京の街並みを残すエリアで、趣のある建物と豊かな自然が多く残るエリアでもあります。
耐寒性ゾーンは《9a~8b》ですが、23区西部エリアと同様に、「朝晩」の気温に差が生じやすいエリアです。
【耐寒性ゾーン】
「荒川区」「台東区」「墨田区」は《9a》ゾーンです。
「葛飾区」「江東区」「江戸川区」は《9b》ゾーンです。
「足立区」は《8a》ゾーンです。
【多摩エリア】

薬師池公園(ヤクシイケコウエン)※町田市
多摩エリアは、東京の西側に位置し、東京都のうち23区と伊豆諸島・小笠原諸島を除いた30市町村(26市3町1村)からなります。東京都のほぼ半分の面積を占めていて、自然が多く残り、都心へのアクセスも良いエリアです。
夏は暑さが厳しく、猛暑日が多いですが、冬は冷え込みが厳しいエリアでもあります。
立川市や府中市、調布市などの多摩平野部は、都心部には近いですが、冬は寒さが厳しく、-6℃前後まで冷え込むこともあります。
八王子市、青梅市では、夏の暑さ・冬の寒さは厳しく、厳冬期には-8℃前後になることもあります。
【耐寒性ゾーン】
「東村山市」「東大和市」「武蔵村山市」は《9a》ゾーンです。
「小平市」「清瀬市」「東久留米市」「西東京市」「武蔵野市」「三鷹市」「府中市」「調布市」「小金井市」「狛江市」「立川市」「昭島市」「国分寺市」「国立市」「八王子市」「町田市」「日野市」「多摩市」「稲城市」「青梅市」「あきる野市」「福生市」「羽村市」「瑞穂町」「日の出町」「奥多摩町」「檜原村」は《8b》ゾーンです。
東京の冬の特徴を月ごとに解説!
東京の冬は、晴れた日が多く、雨や雪が降りにくいため、湿度が低く、空気が乾燥する日が続きます。
ここでは東京の12~2月の気温と特徴を解説します!
【12月】
12月の東京の気温は平均すると昼間が12℃、朝晩が5℃くらいです。
秋も終わり、本格的に冬を迎える12月は、気温が急激に下がり、時には雪が降ることもあります。昼夜の温度差が激しいのが特徴です。また、日の入り時刻は16時30分前後で、1年のうちで太陽が最も早く沈む月です。
【1月】

六義園(リクギエン)※文京区
1年のうちで1番寒い時期です。日の出時間も1番遅く、毎年の1月20日あるいは21日は24節気の「大寒」で、大寒が過ぎる1月下旬はもっとも寒い期間です。
【2月】
2月の東京の気温は平均すると昼間が10~11℃、朝晩が3℃くらいです。
2月上旬は、まだまだ冷え込む日が多く、東京でも雪が降ることもありますが、2月下旬になると、平均気温は上旬より上がり、春を感じさせる暖かい日も!
東京におすすめの庭木をカテゴリー別に分けて解説!
冬に冷え込むことがある東京では、常緑樹や多肉植物などの種類によっては、屋外で冬越しできない可能性があります。庭木選びは耐寒性に注意してくださいね。
東京でおすすめの落葉樹
落葉樹は、秋を迎え気温が下がると、いっせいに葉を落とすので寒さに弱いと思われるかもしれませんが、葉を落とし成長をとめ、休眠することで寒い冬を乗り切ります。人気の落葉樹は、東京でもほとんど育てることが可能です。
1.ジューンベリー
学名:Amelanchier(Zone:4~9)
バラ科ザイフリボク属のジューンベリーは落葉性の高木です。耐寒性、耐暑性に優れており、特に対策の必要はありません。春に白い花が咲き、6月にかわいい実をつけ、秋には紅葉するので長期間楽しめる樹木として人気です。日当たり、水はけが良い場所に植えつけます。

2.サルスベリ(百日紅)
学名:Lagerstroemia indica(Zone:6~9)
サルスベリはミソハギ科サルスベリ属の落葉性中高木で、夏の7月~10月の間、白やピンクのたくさんの花が咲き続けます。洋風・和風を問わずシンボルツリーとしても人気の樹木です。日当たり・水はけが良く適湿で肥沃な場所に植えましょう。

3. アオダモ
学名:Fraxinus lanuginose(Zone:5~8)
モクセイ科トネリコ属のアオダモは、しなやかな枝と幹が魅力的な樹木です。春には白いほんわりとした花を咲かせます。雑木の庭や和風の庭のシンボルツリーとしてもおすすめです。

東京でおすすめの常緑樹
常に葉が茂っているように見える常緑樹は、東南アジアなど温暖な地域が原産の樹木が多く、寒さには少し弱い傾向にあります。常に葉が茂っているように見えるので、寂しくなりがちな冬のお庭にワンポイント的に植えるのもおすすめです。
1.フェイジョア
学名:Acca sellowiana(Zone:8~10)
フトモモ科アッカ属の常緑高木。華やかな花と葉が美しい樹木です。株立ち樹形が美しく、洋風のお庭のシンボルツリーとしても人気です。秋には甘みと香りのある実をつけます。狭いスペースでの鉢植えでの栽培にもおすすめです。

2.シマトネリコ
学名:Fraxinus griffithii(Zone:8~10)
モクセイ科トネリコ属の常緑高木。つつやかな葉や、涼しげな樹形が魅力で、丈夫で育てやすく人気のシンボルツリーです。南国生まれの樹木なので成長が早いため、大きくなり過ぎないように注意しましょう。

3. キンモクセイ(金木犀)
学名:Osmanthus fragrans var. aurantiacus Makino(Zone:7~10)
モクセイ科モクセイ属。オレンジ色の小さな花を秋につけるキンモクセイは、早春のジンチョウゲ、初夏のクチナシと並んで「三香木(さんこうぼく)」に数えられます。

東京でおすすめの果樹
実がなる果樹を植え、収穫を楽しむことができれば、より充実したお庭になりますよね。東京のような都会でも、果樹を楽しむことはできますが、果樹を目当てに小鳥が集まると、鳴き声や糞でご近所に迷惑をかけてしまうことも。そうならないように品種選びにも注意しましょう。
1.オリーブ
学名:Olea europaea(Zone:8b)
モクセイ科オリーブ属の常緑樹で、南欧風のお庭を演出する人気の果樹です。スッキリとした常緑の枝葉でお庭をさわやかな印象に。小スペースの玄関前にもおすすめです。

2.ヤマボウシ
Cornus kousa(Syn. Benthamidia japonica)(Zone:5~8)
ミズキ科ミズキ属の落葉高木。秋になる実は食べることもできますよ。ヤマボウシは日本の気候によく合った育てやすい雑木で、お庭のシンボルツリーとしても人気です。

3.ブルーベリー

accinium(Zone:7~9)
ツツジ科スノキ属のブルーベリーは、花・実・紅葉と楽しませてくれる樹木です。初夏に白い小花が咲き、実をつけます。甘酸っぱい実は黄緑から青紫へと変化し、目を楽しませてくれます。

東京でおすすめの特殊樹
こちらの特殊樹のコーナーでは、「人と同じではつまらない」「こだわりのある庭にしたい」という方におすすめの樹木を選びました。アジアンリゾート風やハワイアンリゾー風、ドライガーデンなど、住む方のお好みに合わせて個性的なお庭を作りましょう!
1.コルディリネ・オーストラリス(ニオイシュロラン)
学名:Cordyline australis(Zone:8~11)
キジカクシ科コルディリネ属のニュージーランドを原産とする常緑小高木です。幹や尖った葉は十分インパクトがあります。さらに、初夏には強い香りのする白い花が咲き、アジアンリゾートや、ハワイアンリゾート風の南国っぽいお庭にしたい方にぴったり。例年の関東周辺の降雪量で枯れてしまうことは少ないです。
1.黒竹
学名:Phyllostachys nigra(Zone:7~10)
イネ科マチク属の黒竹は、緑の葉っぱと黒い幹のコントラストが美しい竹です。手入れや増やし方も簡単なので、お庭に植えると和モダンな雰囲気を醸し出してくれます。黒竹は繁殖力がとても強く、放任していると、荒地のように見えてしまう場合も。黒竹を美しく見せる植え方のポイントはこまめに剪定を行うことです。自身での剪定が難しいようなら、造園専門業者にお願いしましょう。
2.ワジュロ
学名:Trachycarpus fortune(Zone:7~10)
ヤシ科シュロ属の暑さにも寒さにも強く、熱帯的な雰囲気があるので洋風の庭によく合うヤシの木です。高木ですが、成長は遅く、樹姿が大きく乱れることも少ないため、あまり手間のかからない樹木です。
2023年5月10日











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